秩父夜祭で本物の祭りを見たという話。

埼玉県民を30年以上やっていて、生涯一度も秩父夜祭を見たことがない。

日本3大夜祭として京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに歴史のある秩父神社の例大祭。ユネスコ無形文化遺産にも登録されているそうだ。
20トンを超える六基の山車が『団子坂(だんござか)』と呼ばれる長い坂にて、人力のみで引き上げられる光景はどんなお祭りより見ごたえがあるという。

そんなお祭りを見たことがないというと埼玉県内では非県民のような目で見られるのが、いや純粋に一度は見てみたかったので、去る12月の開催日に合わせついに行ってきた。

ところが生来の面倒くさがりのためまったくのリサーチ不足、行き当たりばったりな行動なものだから、車で大渋滞に巻き込まれてしまい会場に着いた頃にはほとんどのお店が締まっていて山車なんて一基も見えない。

それどころか出店も閉まっている始末である…。

 

ようやく見つけた屋台で失意の一枚(笑)

ねえねえ、こんな光景が見られるんじゃなかったの?!

 

 

もう見たことにして帰ろうぜ…、なんて友達と話していたまさにその瞬間、はるか遠くから掛け声のような大きな声が聞えてきた。

さっそく近寄ってみると秩父神社に収められんとしている一基の山車が、いま弾けたように踊っているではないか!

 

どうやら熱が冷めやらぬ囃子手や曳き手が、名残り惜しむ様に楽しんでいるらしい。

 

観客もまばらになった神社境内で誰に見せるわけでもなく、誰に聞かせるわけでもなく囃し立てるその姿に、本物の祭りの「粋」というものを見せて頂いた気分である。

災い転じてなんとやら、これで私もようやく埼玉県民になれたような気がした一日でした。

秩父神社の公式ホームページ